兵庫県立美術館にて、建築家の安藤忠雄氏と美術家の李禹煥(LeeUfan)氏の対談がありました。
これほどの著名な方の講演会を聞く機会は、なかなかありません。特にわたしが感銘を受けたお話しと、わたしが定期的に美術館に足を運ぶ理由をご紹介します。
美術館に興味がない方、現代美術なんてわからない、という方にこそぜひ読んで頂ければと思います。
世界的建築家 安藤忠雄氏の講演会での学び
安藤忠雄氏の講演会は、今回2回目の参加となりました。
81歳とは思えない情熱を、今回も全力でぶつけてくれました。安藤氏のお話しを聞いて、わたしが思うことと合わせてご紹介します。
あなたも、自分ならどう思うか考えながら、読み進めてみてください。
今回は「時代」について。
今日本は経済的にも苦しく、昔のバブル期からは想像もつかないような日本になってしまいました。
日本がこんなことになったのは「考える力」が足りないから。と安藤氏は仰います。
今の日本は小さい頃から教えてもらう教育で育ちました。自分で考える力が養われない人が育ったため、自分で行動できないのです。
そして、もうひとつは「時代が違う世代」が共存することが難しいから。
例えば、60代以上の建築家はパソコンが使いこなせない、でも自分で三角定規をつかって設計すると抜群なお仕事をされる。30代の若者はパソコンを器用に使って仕事ができるので、それを年配の方にも要求する。そこで世代の共存が難しくなります。
また、今の若者は自分で考える力がないから自分の意見がなく、わからないことはググって回答する。
時代が変わっているので適応できない人は仕事から離れるし、このような問題が今の日本の現状を作っているのです。
だからこそ安藤氏はいつも「考える力」について熱く語られるのです。
時代の変化は子育てにも表れる
わたしも今まさに時代の変化による子育てで、悩んでいる真っ最中です。
わたしたちが学生だった頃は、SNSはなかったし、学生時代にメイクをしたりすることもなかった。
今の子どもたちは、スマホが当たりまえで、自分だけのゲーム機があって、SNSをしないほうが時代遅れなのです。
けれどそれを経験していない親世代が現代の子どもを育てていることは、あまりにも経験値が違いすぎます。
親自身が勉強とSNSを掛け持ちする経験がないのに、SNSと上手く共存する方法やトラブルを避ける手段を子どもに教えてあげられるのでしょうか。
わたし自身がその問題に悩んで得た答えは、今の若者世代がどのような思考で生きているのかをできるだけ知ろうとすること。自分から現状をつかみにいくしかないと思っています。
SNS依存の気持ちや、友達との繋がりがネットであること、今の時代を生き抜くためには必要な手段であることなどを、自分もSNSをしたり調べたりして理解できるようにしてきました。
時代が違うということを認めて、違いを知ること。そして行動するしかないのです。
安藤忠雄氏と李禹煥(LeeUfan)氏の対談
美術家の李禹煥(LeeUfan)氏の展覧会の様子はこちらのブログをご覧ください。
今回の対談は、主におふたりの繋がりについてでした。
2010年に開館した直島にある李禹煥美術館。こちらは建築が安藤忠雄氏によるものです。
おふたりのコラボが直島にあるのです。
李氏は韓国の方ですが、作品をぶち壊したりすることに多くの批判を受けて海外に活動の場を変えたそうです。この批判が自分を大きく成長させたと仰っています。
李氏の作品は「現代美術」と言われるもので、石がただ置いてあるだけに見える人もいるし、何かを語りかけていると感じる人もいる。
2014年に彼の作品はヴェルサイユ宮殿で展示されたこともあるほど、ものすごく著名な方なのです。
安藤氏は「現代美術がわからんでも見て」と仰い、このように語られました。
わからなくても何回も行ってみる、美術は答えのあるものではないし、自分の遠くにあるようで近くにあるもの。
どう感じるかはあなた次第でいい。目でみるのではなく、心でみる。
全部の作品をみなくてもいいから、気になるものをひとつでもいい、ずっと見ていると違う世界が見えてくるから。
それが心を豊かにする。
李氏の命がけで取り組む現代美術の世界観を、安藤氏がわかりやすくお話ししてくれた、素敵な対談でした。
わたしが美術館に通う理由
安藤氏が毎回言われることが、知的体力を身につけるということ。
その重要性についてこのように語られています。
知的体力とは、本を読んだりして知識を得ること。人生を楽しく生き抜いていく秘訣である。
長い人生の中で、自分を底上げしてくれるのは「知的体力」。心を豊かにする機会にどれだけ接触できるかです。
わたしが知的体力をつける手段としてしていることのひとつが、美術館に通うことです。
美術館にある有名な絵画や展示品について、詳しくなくてもいいのです。
なんとなく自分が素敵だと思った作品をとことん眺めてみる。その場で同じ空気を感じてみる。
美術館に通うことで、少しづつ少しづつ自分を底上げすることができます。
自分を底上げすることができれば、楽しいこともたくさん出てくる。人生は楽しむことに意味があるから。
美しい空間に身を置く機会を増やす。それだけで、わたしは心が洗練されます。
言葉にできない清々しさや、あまりの美しさに心が躍るような感覚。
こんな世界があったんだ!って気付かされるのは、気付くことができるのは、美術館なのです。
だから、わたしは美術館に通うのです。
自分を底上げしたいから、心が豊かな人生を送りたいから。
有名な芸術家・美術家というのは、一般人と大きくかけ離れた思考の持ち主。
安藤さんやLeeさんもそうですが、ものすごく雲の上の人って思うかもしれないけど、何度も講演会にいってお会いすると、親近感がわいて思考の影響を強く受けます。
それが、底上げ。
知らない世界を知る、そこに触れる、感じるだけ。
美術館や講演会に行くコツ
わたしは神戸市在住なので、よく行くところは2つです。
・兵庫県立美術館
・神戸市立博物館
大阪でも好きな展覧会があれば必ず行きます。
・国立国際美術館
・大阪中之島美術館
何ごともそうですが、興味があることは徹底的に情報集めをしています。
定期的にどこの美術館で、どんな展覧会が開催されるのか調べます。
よく「どうやって調べるんですか?」と聞かれますが、地道に美術館のホームページを見るだけです。コツコツ調べるだけです。
安藤忠雄氏の講演会は、神戸では兵庫県立美術館で開催されているので、ホームページかインスタグラムで情報を得ています。開催が決まったらすぐ予約しないと、満席になります。
毎回無料で講演会に参加できますので、ぜひお近くの方は予約して行ってみてください。
このように学びを自分の言葉に変えてブログに書かせていただくことも、わたしの知的体力のツールです。
いつも読んでくださってありがとうございます。
では、また。