反田恭平さんのピアノ・リサイタル2023、大阪公演に行ってきました。
2021年10月、ショパンコンクール2位に輝いた彼は、今どのような音楽を奏でるのか。
そこには彼の命を削っての演奏、そして本気で音楽で稼ぐ彼の姿がありました。
チケット以外に、彼はすごい額を稼ぐ方法を実践していました。
スポーツもそうだけれど、音楽も食べていくことが難しい職種です。
それを彼は変えていく、時代は変わります。
反田さんが、この業界を変える第一人者になる。
幼少期から中学までピアノを習い、学生時代に吹奏楽部クラリネットソリスト・コンサートマスター経験者のわたしが、今回のリサイタルの感想をご紹介します。
どうぞお付き合いください。
反田恭平ピアノ・リサイタル2023を聴いて
今回わたしが訪れたのは、大阪公演です。
反田恭平ピアノ・リサイタル2023
2023年7月18日 大阪フェスティバルホール
一部は、スクリャービン、そしてラフマニノフというロシア構成でした。
二部は、ショパン第1~4番です。
ラフマニノフ
ラフマニノフといえば「鐘」そして鐘と同時期に作曲された「ピアノ・ソナタ第2番」を演奏。
ラフマニノフの音楽は、陰陽の二極した印象がありますよね。
作曲で思うような評価が得られずスランプも経験した彼だからこそ。
反田さんはロシアで学んできたこともあり、より力強く繊細に弾き切ってくれました。
わたしは吹奏楽部でしたのでラフマニノフは特に思い入れがありますが、大人になって聴くラフマニノフは、また違った感情が溢れました。
音楽も人生も、美しいだけではなく、深く激しく苦悩の物語があってこそだと。
ショパン
ショパンコンクール2位に輝いた反田さんの「ショパン」を生で聴くことができたなんて、本当に感動です。
「レべチ」で素晴らしく、けれど、そこには相当な練習量が見えました。
天才とは、自分の音楽をただただ信じて、膨大な練習ができる人のことだと思うのです。
わたしは長くピアノを習っていたけれど、本当に下手だった。夢中になれなかったんです。
その後、クラリネットに出会って「これだ!」を経験することができました。
だから、ピアノを弾ける人がとてもうらやましいし、練習しても下手だったからこそ憧れが強くて、芯の通った音がどんな音なのか、よくわかるんです。
ショパンに関しては、彼の著書をぜひ読んでもらいたい。
アンコール
アンコール曲は4曲でした。
ショパン:
エチュード集(練習曲集)Op.25-12 ハ短調「大洋」
ワルツ第5番変イ長調Op.42 「大円舞曲」
ワルツ第6番 変ニ長調 Op.64-1 「子犬のワルツ」
ワルツ第4番 Op.34-3 「子猫のワルツ」
子犬も子猫も、指どうなってるの?魔法?と思うほど。
アンコールだけでも、ものすごく価値がありました。
実は大阪公演の前にあった会場の、アンコールリストを事前にチェックしたんです。
その中にわたしが大好きな「シューマン=リスト献呈」がありました。
わたしは彼の弾く献呈が、好きで好きでたまらないんです。
以前、はじめて彼のコンサートに行ったときに、偶然アンコールで弾いてくださって、大号泣しました。
今回も、もしかしたら…。
期待を込めていたのですが、今回は大阪では演奏されませんでした。
彼の選曲作戦に、負けました。
そうなんです、この日に献呈を聴いてしまったら、大満足してしまう。
少し心残りを持つことが、彼からのプレゼントでした。
また、彼の演奏会に行こう。
またいつか、彼の献呈を聴きに行こう。
反田恭平は本気だった
スクリャービン、ラフマニノフ、ショパン。
すべて彼の命を削りながら演奏した曲。
彼がよく言っている「いつ死んでもいい」という覚悟でピアノを弾いているという言葉、それはショパンコンクールを終えてさらに売れた今でも嘘偽りはありません。
わたしの感想
母が一度反田さんの演奏を聴いてみたいということで、今回は母を招待して2人で行きました。
わたしは音楽、美術館などの芸術はいつも一人で行きます。
一緒に行く人に気遣うことなく、一人でその世界に入りたいから。
親孝行を兼ねて母を連れて行ったのですが、とても喜んでくれました。
演奏する指が見えると楽しいと。
わたしにピアノを買ってくれた母、わたしの娘にもピアノを買ってくれました。
今もこうして音楽を愛しているのは、母のおかげ。心から感謝しています。
前回は大好きなオーケストラとピアノの共演だったので、わたしの吹奏楽とピアノの経験も重なり、とにかく大号泣してしまいました。
わたしだけでなく、まわりの人もすごく泣いていました。
涙が我慢できなくて、音楽のすばらしさが心の隅々まで浸透したんです。
今回はただただピアノの音色に感動し、ピアノひとつでここまで感動を生み出すことができるのだと驚きもありました。
けれど、オーケストラがあったほうが、吹奏楽を経験したわたしには感動が大きかったと思います。
ヴァイオリンの重厚さや、多くの楽器が醸し出すオーラも、やっぱりオーケストラは素晴らしい。
さらに、指揮者が佐渡裕さんだったこともあります。
オーケストラの音に反田さんのピアノは一切負けていなくて、その対話がもう感動でしかなくて。
次回は、またオーケストラと反田さんのピアノを聴きに行きたいと思います。
音楽で稼ぐということ
反田さんの著書でも、音楽で食べて行く方法について書かれています。
今回のピアノ・リサイタルで、わたしは驚く光景を目にしたんです。
「著書・CDを購入すると、講演後のサイン会に参加できます」という張り紙と共に、遥か彼方まであるかと思うほどの、購入するファンの大行列。
コンサート会場で、演奏後に本人からサインがもらえるという特典は、今まであっただろうか。
夕方から2時間のリサイタルを終えて、さらにアンコールを4曲も。
そこから人数制限を設けていないように思えるほどの人に、サインをしていく。
反田恭平はやっぱり、本気だった。
本が1,760円、他に複数のCDが1枚3,000円弱。
フェスティバルホールは収容人数は最大2,700名、満席。
サイン欲しさに本やCDを買う人は後を絶たず。
わたしが見ただけでも、何百人並んでいるだろうか?と驚きました。
リサイタルが終了しても、まだ並んでいる。販売している。
音楽で食べていけない、その苦しさを知っているから、どんなに疲れていても音楽で稼ぐ方法を、自らが実践しているのだ。
その姿に、わたしは感動してしまったんです。心から。
クラッシック業界は本当に時代から遅れていて、今回もいまだ紙のチケットだったし、入り口で大量のチラシを渡されました。
歌舞伎業界も同じで、古いものはそのままでいいという風潮があります。
BLACKPINKのように、QRコードはもちろん、アプリでチケットをリセールできるようにすれば、当日体調不良等で行けなくなった席も埋まります。
席の価格もS席7,500円は安すぎます。値上げして、その分学生さんは安く。
演奏者の顔や指が見える席と、後ろ姿しか見えない席、価格を変えていい。
わたしの身近な70代はPayPay使えるし、人に聞いてでもやるから年配者を取りこぼす不安は不要。
芸術、音楽に、ふさわしいお金が回ることを願っています。
きっと反田さんが、この業界を変える第一人者になる。
もっと気軽に、もっと自由に、クラッシックを楽しめる時代になりますように。
では、また。
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