6月1日、新日本フィルハーモニー交響楽50周年記念演奏会に行ってきました。ピアノは反田恭平さん、指揮は佐渡裕さんです。
今日本で最もチケットの取れないピアニスト反田さんのチケットを取った方法と、初心者でもOKクラッシックコンサートの楽しみ方、そして今回の演奏会の感想をまだ音がわたしの中に残っているうちに、感じたことを記録したいと思います。
幼少期から中学までピアノを習い、学生時代ではありますが元吹奏楽部クラリネットソリスト・コンサートマスター経験者のわたしがご紹介しますので、どうぞお付き合いください。
ピアニスト反田恭平さんのチケットの取り方
反田さんは今最もチケットの取れないピアニストと言われているほど、入手困難です。
プラチナチケットと呼ばれるほどの倍率なので、正直言いますと「運」と「気合い」となりますがコツはあります。チケット取得は様々な方法がありますが、ここではわたしが実際に取った方法と、取れなかった失敗談をご紹介します。
2022年6月1日大和証券グループ presents 佐渡 裕[指揮]反田恭平 [ピアノ] 新日本フィルハーモニー交響楽団50周年記念演奏会
①反田恭平さんのオフィシャルサイトをチェックする
いつコンサートがあるのか、チケット販売日とどこで販売があるのかが、すべてわかります。
コンサート開催が決まればここに記載されるので、新規のコンサートが出ていないか日々習慣のようにチェックします。この地味な作業が一番のポイントです。
毎日のようにコンサート情報を調べにいくと、不思議と自分の中の「生の演奏が聴きたい!」という願望が膨れあがって、チケットがとれたときの感動、実際に演奏を聴いたときの達成感や高揚感が全く違うので、ここは他人任せにせず頑張ってください。
ちなみに、有料のファンクラブに入るとチケットの優先予約ができます。(わたしは今のところ入っていません…)
②先行予約を狙う
ネットの「先行予約」で一般販売前にチケットを予約することができますので、ここで必ず申し込みをします。予約期間が短い上に、演奏会よりもかなり早い時期に申し込みになるので、日々のチケット情報をチェックしておかないと、見逃します。
だからこそ、ここでゲットできるように「気合い」です。
他には演奏会場で長時間並んでチケットを購入した人も多くいらっしゃるようですが、4時間待ちなどすごい事になっていますので、現実的ではないかもしれません。
わたしのチケット当選までの道のり
わたしは6月1日のチケットを先行予約で3月17日に申し込み、抽選日が3月24日でした。初申し込みで、いきなり「当選」しました。
当選したコツは、自分の勝手な想像ですが3点あります。
①コンサート会場のネット予約受付で申し込む
チケットはイープラス先行やチケットぴあなど複数ありますが、コンサート会場に直接申し込みできる場合は当選率が上がるような気がします。
今回わたしは「フェニーチェ堺」という会場の先行予約をネットでしました。
②ひとりで申し込む
S席を1名で申し込みをしたところ、当選。しかも席が抜群によかったのです。
2階の右側に突き出た特等席で前から2番目。
わたしの並びはすべて1名客でしたので、1名で申し込んだからこそ、ここなのかもしれないと思いました。近すぎて顔が肉眼で見えるほど、震えました…。
S席のチケットを自分で取り、ひとりでオシャレをして出かける。経験に投資する、よいお金の使い方で最高の方法です。ひとりでは行けないと思っていても、意外と楽しめますよ。チャレンジしてみて下さい。
③スケジュール帳に行く前提で書きこむ
あとは「運」です。
絶対行く!と思い込んで、実際にコンサート会場で演奏会にいる自分を想像して、スケジュール帳に「反田恭平ピアノコンサート」と予定を書き込みます。当たったと同然のように。
冗談ではなくて、本気で。申し込みをしたあとは、何を着て行こうかな、当日演奏する曲を何度も聞いておこう!と、当選する前から当たったように過ごします。
この方法でわたしは何度もいろんな当選をしてきました。倍率のすごい神戸マラソンも、走るの大変だけど当ててしまいます(笑)
落選の失敗経験談
2022年7月19日 反田恭平 ピアノ・リサイタル 2022
大阪での反田恭平さんのピアノリサイタルも申し込みをして、落選しました。
原因は、2つ。
・6月1日のコンサートがすでに当選しているので、気合いがまったく足りなかった
・欲を出して、母と妹も誘い3名で申し込みをした
先行予約で落選し、一般販売でもゲットできず。(どちらもイープラス)
一般販売のときも先着順のイープラスでチャレンジしたのですが即完売。会場のフェスティバルホールのホームページから申し込めばよかったと後悔しています。母も連れて行ってあげたかった。
気合いが足りないと当選できない、しかも3名分なんて無理にもほどがある…。
新日本フィルハーモニー交響楽団50周年記念演奏会の感想
2022年6月1日 会場:フェニーチェ堺(大阪)
大和証券グループ presents 佐渡 裕[指揮]反田恭平 [ピアノ] 新日本フィルハーモニー交響楽団50周年記念演奏会
今回のコンサートの目玉は、すごい組合せだからです。わたしの感想と共にご紹介します。
ピアノ 反田恭平
2021年10月ショパン国際ピアノコンクール2位。
指揮者でもあり、現在JNOと言われるプロのオーケストラを設立し、音楽家を社員として雇うことで給与の安定を保証し、将来的には音楽家の学校も設立したいのこと。
わたしの感想:かわいい汗拭き
「僕は、人のために弾きたい」そのように語った彼のピアノは、音が生きている。
音楽の原点であり、また物事のすべての原点でもある「楽しさ」を誰よりも表現している姿に、心から感動した人が多いからこそ、これだけ話題となっているのではないでしょうか。
気合いでゲットした席があまりに近くて、肉眼で彼の顔が見れました。
演奏中はほぼ鍵盤は見ていなくて、想いをはせて天を仰ぐ。表現が顔に全部表れていて、どれほど練習してきたのか想像もできないほど、圧巻です。
ピアノってこんなに響くんだ、ってはじめて思いました。音の深みを出すために、筋トレをして身体を増量させたというだけあって力強い、そしてとても繊細。この大きな身体から、なぜそんなに繊細な細やかな音が出せるんだろう。
ピアノの休憩中(オーケストラが演奏している間)何度も何度も自分のハンカチで顔の汗を拭くんです。眼鏡の中も、あごも、たぶん汗まみれなんだと。
ピアノって体力いるんですね。その汗を拭いている姿はかわいい普通の若者って感じがして、そんなギャップにおばさま方はファン化していくのでしょう!お隣のおばさまも双眼鏡でガン見されていました。ピアノが終わってオケだけになると、早々に双眼鏡カバンになおしていたので(笑)
もちろんわたしも双眼鏡持参です!肉眼で見える席だったのに、ドアップで見たくなるじゃないですか。汗拭きまくるのでなんとなく親近感、さらに大好きになりました。
指揮者 佐渡 裕
2023年4月から新日本フィルハーモニー交響学園の音楽監督に就任される予定。
わたしの感想:ジャンプするお父さん
吹奏楽部のフルート担当から世界的指揮者となった佐渡裕さん。わたしたち元吹奏楽部員からみると、佐渡さんはすごい経歴なのにお父さんみたいな存在で温かい人なんです。
指揮者によって、音楽は間違いなく変わります。
同じ演奏家、同じ曲でも、まったく別物のように。
わたしは学生時代コンサートマスターをしていましたが、コンクールの前に有名な指揮者が指導にきてくださる機会がありました。
もちろん我が校の顧問は素晴らしい先生でしたが、有名な指揮者が指揮棒(タクト)を振った瞬間、音が変わった。引き込まれる、自分の中から違うものが沸き上がって、すべてが一体化する。そんな体験をしたことがあります。
佐渡さんはまさに、個性の塊である新日本フィルハーモニー交響楽団のすべての音を、すべてのパワーをまとめて出し切ったように感じました。
佐渡さん自身がワクワクしてジャンプしたり、朗らかさがにじみ出ていて、初心者でも彼のすばらしさは体感できますから感動的です。
新日本フィルハーモニー交響楽団
有名な指揮者 小澤 征爾さん(歌手の小沢健二さんの叔父)が創立された交響楽団で、今回創立50周年の記念演奏会でした。新日本フィルハーモニー交響楽団
わたしの感想:個性の塊
個性の塊、これほど見ごたえのある交響楽団もなかなかないですよね。
・ソロコンサートマスター崔 文洙(チェ・ムンス)さん
髪型が高木ブーさんの鬼の雷様を思い出すんですが…(笑)演奏しながらたまに中腰?になるんです、立ち上がるかのように。演奏中に椅子から浮かぶ演奏家ってすごくないですか?
自由なんですよ、ヴァイオリンの弓が飛んでいくんじゃないかと思うほど。最高!!
ゲストコンサートマスター伝田正秀 さんも力強い演奏が素晴らしく、さすが!の一言です。
実力はもちろん素晴らしいですが、演奏家ってある意味パフォーマンスも大事だと思うんです。どの演奏をみても、コンサートマスターが一番動きが激しい。身体全体で、すべてを使って演奏している。動きすぎじゃないの?!くらいになっちゃうんですけど、見ている側としてはそれが感動するし、音にも影響しているように感じます。
客席からみて、指揮者のすぐ左一番前にいる人がコンサートマスターです。
他にも金髪の方やロックしてます!みたいな刈り上げヘアだったり、今はクラッシック界も多様性がありいいですね!
感動のアンコール
ピアノ:シューマン=リスト/献呈
過去のアンコール曲をみても、毎回違うので今回どの曲になるかは当日までのお楽しみ。
わたしは彼の演奏する曲の中で、「シューマン=リスト献呈」が一番好きで、何度も何度も聴いてきました。アンコールで一度だけこの曲が演奏されたことを知り、絶対大阪で弾いてくれる。そう願って願って。
アンコールがはじまって、すぐわかりました。やっぱり弾いてくれた。
もう号泣しないとかないですよね。最初から最後まで涙が止まらなくて、彼のやさしい音色と力強さと、好きで好きでたまらない曲と。
わたしの涙は二重マスクのシルクが全部吸い取ってくれました。2022年もう思い残すことはない。自分の運の強さ、そしてこの日の出会い、一生忘れたくない。それくらい感動でした。
シューマンの歌曲「献呈」をリストがピアノ独奏用に編曲。シューマンが結婚式の前夜に妻となるクララに贈った歌曲だそうです。愛の歌、献呈とは(君に捧ぐ)です。
献呈、ぜひ聴いてみてください。
オーケストラ:チャイコフスキー/アンダンテ・カンタービレ
ロシアの作曲家チャイコフスキー。
ウクライナにあるチャイコフスキー記念館は今回の戦争で爆破されてなくなってしまったそうです。
この曲はウクライナの民謡を引用して作った曲で、ただただ「美しい」。
ウクライナに行ったことはないけれど、この曲を聞いただけでウクライナという国を感じるほど、うっとりする曲です。だからこそ、今の戦争があまりにも悲しくて、信じられない。多くの人がこの美しい曲を聴きながら涙して、わたしも目が腫れるほど泣いてしまいました。
今回の公演でもウクライナ支援を呼び掛けていました。今、ここですばらしい時間を過ごすことができた幸せを感謝に変えて、これからもウクライナを支援したいと思います。
わたしの想い
わたしは小さい頃からピアノを習い、学生時代は吹奏楽部でクラリネットに没頭し、少なからず音楽と共に生きてきました。
社会人になって音楽から離れてしまったけれど、年月が過ぎ、今おしゃれをしてひとりで好きな人のピアノを聴きにいくことができる。学生の頃には感じられなかった多くの感情が、ピアノやオーケストラの音色と共に自分の中に流れていく。そんな経験ができました。今でもまだわたしの中に音は残っています。
子どもの頃に好きだったことは、時間が経ち大人になったとき、ふとまた関わることがあったり、力になったりする。
きっとあなたも昔好きだった音楽や、心に残る幼少期の記憶に何かしら影響を受けて、今こうしてわたしのブログを読んでくださっていると思います。
今感じていることは過去と繋がっていて、今幸せだと感じた時間は、もし過去につらいと思うできごとがあったとしても、どんどん色あせて幸せな記憶に塗り替えられていく。
人は何年生きたから、ではなく、どのように生きてきたか。
そのことを考えるきっかけになり、感情が揺さぶられる音楽にただただ感謝して、この時間を過ごせたこと、そしてわたしの時間を支えてくれた家族に感謝しています。
追記:インスタライブ6/2
今日反田さんのインスタライブで書籍発売の告知がありました。
2022年6月6日、夜19時からAmazonにて先行予約が開始されるそうです。
そこで「質問ありますか?」と、3000人以上の観覧があったにも関わらず、わたしの質問が取り上げられました!(びっくり!)
昨日のアンコール曲「献呈」があまりに奇跡的に感じていたので、どのタイミングでアンコール選曲をされるのか気になり質問してみました。
お返事してくださって、ちょっと興奮したので細かい言葉の記憶が怪しいですが、アンコール曲はその時の雰囲気やその日の選曲のバランスなどを考えて、その時決められるそうです。
昨夜「献呈」を選んで弾いてくださったのは、やっぱり運命で奇跡だと感じずにはいられません。多分、会場にこられた大多数の方が同じように思っているはずですが(笑)
反田さんに画面越しにお返事してもらえて、最高にうれしいです。
初心者の服装や持ち物など
・飲み物とトイレ
今回は前半40分、休憩20分、後半40分のプログラムですが、アンコールがあるし、順番に会場を出る指示があるので、結局2時間以上ホールにいることになります。
プログラムの真ん中に「休憩」を20分くらい挟みます。この休憩中にトイレと水分補給をしておきましょう。
ホールによっては、休憩中に利用できるようスタンドカフェが併設されていたりしますが、今回はなく1階の自動販売機のみ。ホールの中は飲食禁止なので、先に水を1本購入しておいて、休憩中にホールから出て飲みました。トイレも女性は長蛇の列になりますので、前半が終わったら早めにトイレに移動しましょう。
・服装
クラッシックコンサートだから気合いが入りますが、普通で大丈夫です。スニーカーの方もいますし、逆にお着物の方もいらっしゃいました。
いつもより少し上品な服装にすると自分自身もシャキッとしますから、たまにはいいですよね。
わたしはロングスカートで行ったのですが、子どもが「金持ちの服装」といっていたのを聞いて爆笑!いかにわたしが毎日トレーニングウェアで過ごしているか、よくわかります(笑)
・オペラグラス
オペラグラスといって、小さめの双眼鏡を持参すると大好きな演奏家をガン見できます!(笑)
小さいものにすること、演奏中に出し入れしたり、ガチャガチャ音を出さないこと。
膝の上に置いておいて、時々片手でさっと見る程度がスマートです。
わたしは席が近かったので3倍率の子どものおもちゃみたいなものを持っていきましたが、アップで見れました!席が遠いのならちょっといいものを持参するといいですね。お隣の方はニコンのいいやつでした。
まとめ
興味があると思ったときこそ、行動あるのみ。
みなさんも素敵な音楽に出会えますように。
では、また。
2023年のピアノ・リサイタルの感想はこちらのブログをご覧ください。